新居を建てることになったとき、一番楽しく想像を膨らませていたのは「犬と一緒に快適に過ごせて、お庭もリビングの一部のような感覚で暮らせる庭をつくりたい」でした。
というのも以前はエクステリアプランナーのお仕事をしていた私。
たくさんのお客様のお庭づくりに携わってきて、もし将来自分が家を建てるなら、、、と何度妄想を膨らませたことか!!ついに実現できると決まったときには、お庭を広くとれる土地探しから始まりました。
今回は元プランナーであり施主側も経験した私が、愛犬と快適に過ごすために絶対検討してほしい7つの事をまとめます。
これから家づくり、庭づくりをする愛犬家の方はぜひ最後までチェックしてください♪
一番大事なことは”人”が快適なこと
犬のための庭、というと、つい「犬ファースト」で考えてしまいがち。今この記事を読んでくださっているあなたも、大好きな愛犬のためにできるだけの環境を作ってあげたいと思っているかもしれません。
でも私が一番大切に考えているのは、「住む人が心地よいと思えるかどうか」。
人が庭に出たい、お庭が好きだと思える環境を整えることで、自然と犬も外に出る時間が増えて、結果としてみんなにとって心地よい庭になると考えています。
なので、人が快適に過ごせることが大前提!をポイントの1つ目としつつ、2つめ以降は”犬と暮らすために”という目線で検討のポイントをまとめていきます。
快適さ、安全性、そして気持ちよく使い続けられるメンテナンス性。この3つを意識して、プランニングを進めました。
フェンス・門扉の設計
お庭のゾーニング(おおまかなエリア分け:植栽スペース・芝生エリア・ウッドデッキ範囲・その他物干しやごみ箱など必要なスペースをざっくりエリア分けすること)を考えたときに、一番最初に出てくるのがフェンスや門扉のお話し。
どこを囲って、入り口はどこで、どこからの目隠しをしたいのか。おおよその位置を決めていきます。
フェンス選びで気にしたこと3つ
- 飛び越えない高さか
- フェンスとブロックの隙間はふさぐ必要があるか
- 足をひっかけて登れないか
フェンスの高さ:愛犬の大きさと目的よって決める
愛犬マイルスがまだパピーだった頃、高さ75cmのゲートを飛び越えられた経験があります。
お庭は解放感を大事にしたかったので、目隠しはフェンスではなく植物で。と考えていたのでフェンスは最低限の高さがあればOKと考えていたのですが、いったい最低限とはどのくらいか…とやな見ながら決めました。
最終的には、1mのフェンスを設置。
ブロック2段の上に1.0mのフェンスを設置して、低いところで1.0m、高いところでは約1.2m程の高さになります。閉鎖感が出すぎない高さに抑えつつ、成犬になったマイルスが簡単には飛び越えられないレベルに落ち着きました。

目隠しとして、そもそも背が高いフェンスを検討している方は、高さは犬のためではなく人の視線のために選ぶことになりますね。
登れないかどうか:横板フェンスは隙間1cm以下に
登れそうな構造になっていないかも検討しておきたいポイント。
よくある横板のフェンス(我が家も)は商品によって板の隙間が様々。
抜け感や解放感を出したいと思うと隙間が広めの商品を選ぶこともありますが、足をひっかけて登らないか?…と、想像しておくとよさそう。
登ったりしないよ、と思っていたとしても、何かびっくりしたことが起きたとき簡単に足をかけて脱出できそうな構造はちょっと怖いなと思っていました。
我が家は隙間は1cmに設定。これなら足をかけられそうにはありません。

※横板の幅は12センチ。商品はF&Fマイティウッドフェンスです。
プランナー時代から大好きなフェンスで、白いフェンスといったらこれ一択!というくらい気に入っていたので自宅でも採用。実家のリガーデンでも色違いを採用しています。また紹介の記事を書きたいと思っています!
小型犬向け:フェンスとブロックの隙間はふさぐ?
フェンスの下の隙間、どのくらいかご存じですか?
約10センチ。意外と隙間があります。

商品によっては隙間をふさぐことが出来る部材があったり、職人さんに相談するとできるだけ下げて設置する、ということも可能かもしれません。
いやいや、そんな隙間からは出ないでしょ!と、私もそう思っていたのですが…
実際暮らしてみると、外の道を歩く人や散歩中のわんちゃんの気配、大好きなご近所さんの声に反応して、マイルスはフェンスの下の隙間から外をよく覗いています。
マイルスは中型犬(18キロ)なのでお鼻がにょきっと出ている程度ですが、お隣さんのキャバリアは頭がまるっと出てきます。

小型犬であれば何かの拍子にうっかり出てしまう、ということも無きにしも非ず。小型犬を飼ってらっしゃる方はよく検討してください。
門扉の開き方向・安全対策
門扉は絶対に内開き!
門扉については「内開き」が絶対。
内開き、というのはお庭から外に出る時の扉の開き方が、お庭側(内側)に開くということです。逆に外開きはお庭から扉を押しだす方向に開くということです。
外開きだと、内側から押すと扉が開いて外に簡単に出れてしまいます。外開きでは扉の近くに愛犬がいる時にそわそわして見張っていないといけない、なんてことにもなりかねません。
また、外開きは人が開けた瞬間に、外に飛び出しやすい。
門扉はどうしても採用できない条件が無い限り、内開き一択と考えています。
門扉も下の隙間大丈夫か確認しよう!
フェンスと同じく下の隙間から犬が出られないかどうかも要確認。
標準的な製品でも10センチ程度の隙間があるのが一般的です。
我が家も10センチ強の隙間!

小型犬の飼い主さんは、門扉の下の隙間も対策が必要か検討してください。
門扉の場合は下の隙間をふさぐのがなかなか難しかったりしますが、できるだけ下げて設置してもらったり、必要であればブロックや植木鉢など、何か置いたりするのもいいかもしれません。
マイルスは外が覗けて楽しそう。ですが18キロあるマイルスでも、興奮して出ようとすると頭が抜けてしまうのではないかと思うくらい。

ウッドデッキの素材・構造と犬の安全
我が家のウッドデッキは、天然木(ウリン材)で作りました。
素材:我が家は天然木派
人工木のデッキは夏にかなり熱を持つため、肉球へのダメージが心配だったこと、なるべく天然素材を使いたいと思っていたことから、我が家はウリン材で作ってもらいました。
植栽多め、天然芝、ナチュラルな雰囲気を大切にしたいと思って作ったお庭だったので、天然木にしてよかった!と心から思います。
天然木も日差しで熱くはなりますが、裸足でギリギリ歩ける程度(じっと立ってはいられない)。でも水をかければすぐに冷えるので安心感が高め。
ただ絶対に天然木をおすすめかと言われると、そうとも言い切れず…
天然木のメリット
- 自然素材で裸足で出たときに心地よい、愛犬の足にも天然の木なので優しい
- 太陽光で熱くなっても水をかけるとさっと温度が下がる
- 経年変化で色褪せ、グレイッシュになるとかっこいい(好みによる)
天然木のデメリット
- 経年変化でグレーになるのが見た目的に好きではない人もいる
- ささくれが出来る可能性がある、チェックしないと足に刺さると危ない
- ウリン材の場合は、赤茶色の樹液が最初の数年間染み出す可能性がある
※我が家は2か月ほどで収まりました。デッキの柱の根本に赤茶色の樹液が染み出していましたが、それも雨風で流れて掃除も何もせず気にならなくなりました。
天然木の色褪せ(半年経過後)
メリットデメリットを見比べて、機能性や見た目、雰囲気の好みを含めて考えるとよさそう。
2月にウッドデッキを作ってもらって、8月現在の色褪せはこんな感じ。上に置いてある木材はデッキの下に置きっぱなしだったものなので、雨風・太陽光を防げているものの、最初はもっと明るい茶色でした。
南向きのよく日当たりが良すぎるくらいの我が家では、半年でここまで色が抜けました。

個人的にはこの色褪せたグレイッシュな雰囲気が好みなので、退色は大歓迎です。
熱くなりにくい人工木デッキ
また、人工木デッキは日差しで熱を持ちやすいですが、対策された商品もあります。人工木デッキがいいけれど熱さは何とかしたい、という方はそのような商品を選んでもいいかもしれません。
ちなみに熱くなりにくいウッドデッキのおすすめはMINO株式会社の”彩木”という商品。
ハードウッドならメンテナンス不要
ハードウッドで作れば特にメンテナンスは必要ありません。
名前の通り固いので、何かを塗ったとしても浸透せず意味がないですし、逆に油性の塗装をしてしまうと木材が呼吸でいなくなるため、塗らない方が良い。と、ウッドデッキを施工してくださった職人さんがおっしゃっていました。
ソフトウッドの場合は毎年、防虫・防腐塗装などのメンテナンスが必要です。さぼってしまうと白アリ被害にあったり、腐食が進んでしまったりと危険です。
※そもそもソフトウッドは耐久年数5年と短いため、数年使えればOKという場合を除いておすすめしません。
耐久年数は15~30年
ハードウッドの耐久年数は15~30年と言われます。
人工木デッキは20年以上。
こうして比較すると、耐久性の部分ではどちらも十分と言えます。
20年も経つと生活スタイルや住む人、暮らし方も変化するのではないでしょうか。そんなに先のことは誰にも分からないので、20年程の耐久性があれば検討条件としてどちらも十分だと感じます。
ハードウッド・樹脂デッキの比較ポイント
違い
- 天然素材と人工木では、質感、肌触りが大きく異なる
- 植栽や天然芝など自然素材の空間にはやっぱり天然木が馴染む
- ハードウッドは数年で茶色からグレーへ変化する
- ウリンは特に数年間樹液が出る可能性あり
- 人工木デッキは選んだ色合いが持続するため、ずっと茶色がいい方は人工木!
- 人工木デッキは熱がこもりやすく、夏場は裸足では出られない
同じ
- 定期的なメンテナンスはどちらも不要
- 耐久年数はどちらも十分
- コストは選ぶ素材、メーカー、形や大きさによるため、迷ったら両方見積を取ってみて
デッキの高さ:室内フラット
室内の床とフラットに繋がる高さに設計にすると、出入りがスムーズで躓くこともありません。愛犬も段差がないので安心して外に出られます。
過ごしやすい季節の時は窓を開けっぱなしにしてリビングの延長として使えています。
階段:幅広ステップでゆとりを
階段は1.2mほどの幅で2段設置。

我が家のウッドデッキは【幅6.3m×奥行1.5m】と横長の形で、6.3m分全部に階段をつける案もあったのですが、金額面から必要最小限に。
人工木デッキのセット商品としてよくある階段の幅は60cm程度。
それよりは倍程度と広めにとることでゆとりある空間を意識しました。
使い勝手的にも十分でした。
デッキ下のスペース、ふさがなくてよかった!
当初は全面に階段をつけるか、床と同じように板を貼ってふさぐ予定だったデッキ下。
ですが予算の都合で階段幅を狭め、オープンにしたところ…
結果的にマイルスのお気に入りのくつろぎスペースに!!

マイルスは這って入っていくような感じですが、穴ぐら的な感じでいいのかも。
夏場は日陰になり、風も通るので涼しいようで、よくデッキ下で寝そべっています。お友達のわんちゃんが遊びに来た時もデッキ下に入ってくつろいでいたので、思いがけず犬にとって快適空間が完成しました。
さらにウッドデッキの足(柱)の部分にリードをつなげることも想像していなかったメリットでした。
植栽選びで気をつけたこと
植える植物も、犬にとって安全なものかを意識しました。
例えば、ミモザ、キョウチクトウのような毒性のある植物は避け、できる限り安心な植物を選択。
犬にとって危険な可能性を知って選ばなかった植物たち
- ミモザ
- ライラック
- エゴノキ
- カルミア
- アジサイ
- アナベル
※植物の各成分についてはインターネットで調査した情報をもとに判断しました。実際に危険かどうかはご自身でも調査をお願いいたします。
マイルスは落ちているものを食べたり、かじったりという心配はほとんどなかったので、神経質になりすぎず選択をしています。
なので、例外もひとつ。
例外:ユーカリ
ユーカリは犬が食べてしまうと嘔吐や下痢などの健康状態を害する危険性があるという記事を見ました。ですが個人的にユーカリはとても好きな植物の一つで諦めきれず…
そのため、色々考えたうえで以下の理由で採用しています。
- マイルスは拾い食べの心配がほとんどないかった
- 万が一口にしてしまっても大量摂取する事態は考えにくい
- 基本家族の誰かが一緒に庭に出るので、もしも口にしそうな場合は注意できる
- よく遊ぶ芝生エリアから離した位置に植えると決めた
お庭のメインは天然芝
快適さ、コスト、見栄え、管理のバランス◎
我が家は天然芝(高麗芝)を敷いています。
メンテナンスは多少必要ですが、夏場の温度上昇を防げること、肉球にも優しいこと、そして見た目の自然さがやっぱり魅力的で、天然芝は迷いなく選択しました。
芝生は自分達で敷いたので愛着が湧いて、毎日の水やりや芝刈りなどのお手入れも苦ではありません。
芝生DIYの様子、こちらもぜひご覧ください♪
管理が楽!が最優先の場合の選択肢
メンテナンスの手軽さを最重視したい場合は、天然芝はちょっと面倒に感じますよね。
そんな時は、以下の選択肢もいいかも。
- ウッドデッキを広めにつくり、デッキをメインのお庭として活用
- 人工芝の中でも遮熱、消臭、抗菌などの機能性がある商品を選んで採用
- レンガや石、タイル等でデザインして土の範囲を減らす
ただやっぱり夏でも余裕で裸足で出られて、青々とした涼しげな空間を作ってくれ、かつコスト的にも優しい天然芝が一番!!と私は思っています。
便利な外水栓は2口タイプがおすすめ!
犬と暮らすお庭に外水栓はあると便利。
床に散水栓(ボックスと蛇口が地面に埋まっているタイプ)ではなく、できれば立水栓(地面からニョキっと立っている棒に蛇口がついているタイプ)が◎
また立水栓の中でも、上下に蛇口がついている2口タイプがおすすめです。
↓我が家はこんな感じ。

上の蛇口は手を洗ったりする用、下の蛇口はホースリールを繋ぎっぱなし。
植物や芝生の水やりはもちろんですが、散歩帰りにマイルスの足を洗うのにホースはとても便利。
ちょっと手間だな、と感じる事はできるだけ工程を少なくしておくと心理的なハードルが下がりますよね。ホースを毎回つなぐのは面倒なので、つなぎっぱなしにして蛇口をひねるだけで水やりが出来るのは楽です。
足を洗って吸水タオルでサッと拭いてそのまま室内へ。
特に雨上がりに散歩に行ったときなんか、足の付け根からお腹まで泥が跳ねているなんてこと、あるあるですよね(笑)
ウッドデッキのすぐそばに水栓を設置したので、土がつかないデッキの上に登らせてシャワーで流し、そのままフラットに室内に入れるのがとても使い勝手が良いです。
予算を下げるために工夫したこと
最初にどこまで必要か、冷静に見極める
やりたい事を詰め込むと当然費用も上がるので、必ず必要な部分と迷っている部分、後からできる部分を分けて考えるようにしました。
特に新築の打ち合わせ中はテンションが上がって、あれもこれも、せっかくなら!と色々盛り込みたくなるもの。
…これでOK!と思ったプランを数日寝かせて、最後に改めて見返してみましょう。
コストを下げるためには、本当に使う?今まで使っていた?DIYできない?と自分達に問いかけてみて。
不便に感じていたことを解決してくれるものや、今までも使っていたものは、新しいお家でも活用できすはず。でも憧れや、SNSで便利と聞いたから、という理由で採用しているものがあれば、それは本当に我が家に必要か改めて考えると冷静になれるはず。
また、後からやりたい!となった場合に余計な必要がかかってしまうもの、もしくは後からの工事は難しいものは、迷っていたとしても最初から準備しておくと後悔が無いかもしれません。
後からでもOKと見送ったこと
我が家も迷った結果、最終的には中止したものがいくつかあります。
それが半年たった今現在どうなっているかと合わせてご紹介します。
■家の裏側に回れなくするための囲い(フェンスor門扉)は、物置などで代用できそうと考えた
→結果、コンポストを置いてふさがったので囲いは必要なかった。
■門扉下の10センチ強の隙間は安全面が気がかりだったが、一旦様子見にした
→結果、マイルスがちょうど外を覗けるいい隙間に。どうしても危険と判断したなら扉の高さを若干下げられるので現状そのままに。
■下草や低木は植木屋さんに頼まず、あとで好きなものをゆっくり選ぶことにした
→結果、園芸屋さんを回る楽しみが出来た。自分で選んで植える事で庭に愛着も湧く。
■犬用のリードフックは生活してみて場所を決めてから設置しようと思っていた
→結果、ウッドデッキの柱につなぐことができたので必要なかった。
きっとこれから先何十年も暮らしていく空間。
100%完成させるのではなく、住みながら足したり引いたりすることも暮らしの楽しみの1つに思えらたら素敵ですよね。
最初から「完璧にしすぎないこと」も、コストダウンにつながるポイントです。
おわりに
犬と一緒に楽しめるお庭を作って、本当によかったと日々感じています。
「安全性」と「心地よさ」のバランスを大切に、愛犬も家族も、みんなが自然と庭に出たくなるような場所にできたことは、何より日々の生活を豊かにしてくれています。
マイルスもお庭がとても気に入ってくれたみたいで、窓を開ける音がするとどこにいても飛んでくる。
これから庭づくりをする方にも、ぜひ「愛犬との暮らし」を想像しながら、でも「人が楽しめる空間」であることも忘れずに、ゆっくりじっくり考えてみていただけたらと思います。
この記事が少しでもそのお役に立てていたら嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました!
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